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テレビ報道に見る産業・経済月報
(令和6年9月)

「日銀・政策金利据え置き決定」「日経平均株価大幅暴落」

今月の特徴は1.日経平均株価大幅暴落、2.日銀の動向、3.貿易収支・2か月連続赤字、4.人手不足の動向、5.エネルギーの動向となった。

 

1.日経平均株価大幅暴落

石破総裁誕生後初めての取引となった30日の東京株式市場で、日経平均株価は先週末の終値から1910円安と、大きく値を下げて取引を終えた。また外国為替市場でも円高が進み、円相場は1ドル141円台後半まで上昇している。大幅下落の背景には、自民党総裁選で金融緩和の継続を訴えていた高市氏が負けた影響が大きいのではないかといわれている(日テレ)。

 

2.日銀の動向

日銀は前回7月に政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げに踏み切ったが、20日に開催した金融政策決定会合ではこの方針の維持を決めた。植田総裁は会見で、「今後は経済、物価の情勢が見通しに沿って動いていけばこの先も利上げを検討する」との考えを示した。ただ「時間的な余裕はある」として、利上げは急がず賃金や消費の動向を確認していくとしている(NHK)。

 

3.貿易収支・2か月連続赤字

財務省が発表した8月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支はヨーロッパから医薬品の輸入が増えたことなどから6953億円の赤字となった。貿易赤字は2か月連続となる。輸出額は8兆4419億円と、去年の同じ月より5.6%増えた。一方、輸入額は9兆1372億円と、去年の同じ月より2.3%増え5か月連続で増加した(NHK)。

 

4.人手不足の動向

10月から変わるのが最低賃金で、全国平均で51円上がる。注目されている自治体が84円上がった徳島県。改定前は896円と全国ワースト2位タイだったが、改定後は980円と全国27位タイ。徳島県・後藤田正純知事は「平均以下であれば労働力は流出する。少なくとも平均に近い形での妥結をお願いしたい」と述べた。むしろ少し背伸びしたとしても上げていかないと、人材が全然集まらないということであり、人手不足の加速がこういう側面からも窺える(TBS)。

 

5.エネルギーの動向

太陽光などの再生可能エネルギーは天候によって発電量が左右され、電力の需給バランスが崩れると大規模な停電につながる可能性があることから、需給のバランスをどう調整するかが課題になっている。こうした中、NTTグループの「NTTアノードエナジー」は「NEC」や「三菱電機」などと共同で、通信技術を活用して電力網を制御するシステムを開発した。このシステムでは、太陽光などからの発電量を分析し、必要に応じて蓄電池に電気をためて制御するなど、電力網を一元的に管理するのが特徴で、9月から岐阜県で実証実験を始める予定。会社では今後、大手電力会社などにこのシステムを提供するほか、国の許可が得られれば早ければ来年にも電力会社などの設備を使った配電事業に参入する方針(NHK)。

 

 

●新潮流

「日本初・給与デジタル払いスタート」

与を銀行振り込みなどではなく、キャッシュレス決済サービスで受け取れる給与のデジタル払いが日本で初めて行われた。25日は、キャッシュレス決済サービスを展開するPayPayによる給料日で、ソフトバンクグループ各社の希望する社員が対象となり給与のうち20万円までを上限にPayPayのアカウントに振り込まれた。PayPayで受け取る金額は希望によって人それぞれ。残りの給与はこれまでどおり銀行口座へ振り込まれる。PayPayは年内にも他の企業にもデジタル給与払いを提供していく予定。また、auPAY楽天ペイも厚生労働省に申請中だという。スポットワークを紹介する会社では一度に入る金額が比較的少なく、振り込まれてすぐ使えることからスポットワークで働く人にとってはメリットが多いのではないかとしている。「なるべく早くデジタル給与も導入したい」と話す、引っ越し会社も出ている。一方で「デジタル給与払いを使いたいか」を聞いたところ「使いたい」と答えた人は2割程度にとどまったという調査もある。デジタル給与の上限は制度上、100万円だが今回、PayPayは不測の事態に備えて20万円に設定したという。仮に決済事業者が破綻した場合でも保証機関により全額が補償される仕組みになっている。専門家はこうした補償制度やポイントが付く特典などが周知されれば、徐々に普及していくのではないかと話している(日テレ)。

 

 

●注目点

「日銀が金融政策決定会合の議事要旨公表・物価上振れリスク懸念相次ぎ・利上げ決定」

銀が追加の利上げを決めた、ことし7月の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。歴史的な円安水準となる中、出席した委員から物価の上振れリスクを懸念する意見が相次ぎ、こうしたリスクを踏まえて利上げに踏み切ったことが分かった。日銀はことし7月の金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めた。この月の中旬にかけては歴史的な円安水準になっていたが、26日、公表された議事要旨では委員の間で「過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」という認識を共有し、物価の上振れリスクを懸念する声が相次いでいたことが分かった。その上で、複数の委員から物価の上振れリスクについて「政策判断において、より重要な判断要素になる」などという認識が示され、賛成多数で追加の利上げを決めた。一方、日銀の植田総裁は「このところ、米国経済の先行きが不確実だ」と指摘し今後の利上げを慎重に検討する考えを示しているが、7月の会合では委員の間で米国経済のリスクを指摘する意見は少なく、その後に、日銀として懸念を強めたことが窺える(NHK)。 

 

 

9月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・セブン&アイ・ホールディングス、第2位・ローソン、第3位・リンガーハット」

2024年9月度のテレビ報道CM価値換算ランキング第1位に輝いたのは53億9001万円の「セブン&アイ・ホールディングス」となった。具体的には、「“レジ横”で出来たてを“セブン”がドーナツに再挑戦」「セブン・低価格商品を大幅拡充」等によるものであった。第2位は「ローソン×超一流スイーツ職人」等の報道で、「ローソン」となった。第3位は「超一流中華料理人がジャッジ!リンガーハット従業員イチ押しメニューTOP10」などの報道で、「リンガーハット」。第4位は「ディズニー・新ナイトショー・5年ぶり・シンデレラ城彩る」などの報道で、「オリエンタルランド」となった。第5位は「三井不動産が畑違いの“ブドウ栽培”社内ベンチャーが狙う農業改革」などの報道で「三井不動産」、第6位は「イオンの誰も知らない秘密」などの報道で「イオン」、第7位は「ドンキが参入・格安スマホの選び方は」などの報道で「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」、第8位は「業務スーパー・横浜いずみ店で出口調査」などの報道で、「神戸物産」となった。第9位は「スーパー王国埼玉 4大勢力」などの報道で「ヤオコー」、第10位は「連休最終日でも間に合う!羽田空港完全ガイド」などの報道で「東京空港事務所」となった。

 

 

9月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・植田和男総裁、第2位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長、第3位・アップル・ティムクックCEO」

第1位・日本銀行・植田和男総裁77件(日銀・金融政策決定会合の議事要旨公表など)、第2位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長62件(野菜・価格の高騰いつまで?・摂取量・過去10年で最少など)、第3位・アップル・ティムクックCEO20件(アップル「iPhone16」を発表・独自の生成AI機能搭載など)、第4位・日本経団連・十倉雅和会長17件(経団連・十倉会長・USスチール買収計画めぐり大統領選に左右・あってはならないなど)、第5位・東京電力・小早川智明社長14件(福島第一原発デブリ取り出し延期で防止策など)、第6位・フランチャイズビジネスインキュベーション・山本昌弘社長13件(わずか2年で店舗数200超え・鰻の成瀬急成長の舞台裏など)、第7位・三越伊勢丹ホールディングス・細谷敏幸社長8件(百貨店の未来形が見えた!「館」全体で盛り上げるなど)、第8位・アドレス・佐別當隆志社長7件(能登の被災地でも奔走!ボランティアの拠点開発など)、第9位・しまむら・鈴木誠社長6件(「安さ」「質」を両立・ブランド戦略・売り上げ最高6000億円超など)、第10位・サントリーホールディングス・新浪剛史社長6件(サントリー・来年も7%目指すなど)。

 

 

●テレビの窓

「東京ゲームショウ2024開幕・AI活用に課題も」

新のゲームや機器が紹介される「東京ゲームショウ」が26日から始まった。今回は普及が進むAIに関する展示が目立っている。会場には、過去最多となる985の企業や団体が出展し、半数以上が海外からとなっている。サバイバルゲームを開発する都内のベンチャー企業のブースではキャラクターのイメージや服装を指示すると、30秒に1枚のスピードでデザイン案が提示されるという。生成AIを巡っては、回答が不十分なケースがあるほか、既存の作品と似てしまう著作権の侵害を避けるため、大手企業を中心に活用は限定的な傾向にあるという。立教大学の三宅陽一郎特任教授は、人間が確認作業をする必要性を指摘した上で「非常に長いスパンでは、生成AIはデジタルゲームを革新する技術であることは間違いないと思う。今はフェーズが変わるその手前にいて、どこに出口があるのか模索している段階だ」とコメントした(NHK)。注目されたのはサウジアラビアで、ファイサルビンバンダル王子が会場を訪れた。王子は「我が国の人口の70%が35歳以下、国民の67%がゲーマーだと自負している」「(キディヤシティに)ドラゴンボールのテーマパークが公開されている」とコメントした。サウジアラビアは、国策でゲームやeスポーツの発展に注力し、ゲームと住居などを一体化した特別地区「キディヤシティ」の建設を進めており、中に日本の人気アニメ「ドラゴンボール」のテーマパークを建設する構想もあるという(テレ朝)。

 

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